料亭 天狗楼の建築について 鯖江市教育委員会文化課参事 前田 清彦 様

天狗楼の主要な建築は、総2階建ての料亭棟。奥方に別棟で座敷が張り出している。この建物は、明治以降に鯖江の遊興地として栄えた旧清水町にあり、明治中期に京都の大工が建てたと伝わる料亭建築。昭和初期に糸問屋を営む玉邑氏が買い取り、現在地に建築。調理棟は、この移築に際し新築。 その後、洒伊繊維社長が所有。昭和26年に現当主岡本隆氏の父が譲り受け、天狗楼として開業。ちなみに「天狗楼」とは、隆氏の父が修業した大阪の料亭から由来。
■天狗楼の建築
昭和初期の町屋風調理棟と、料亭の表門・板塀からなる屋敷の表構えは、通り沿いに優れた景観、風情を創出。 料亭棟は、総2階建ての大規模な建築。2階に50畳を超す大広間。背後に張り出す別棟部を含めて、前室付きの接客用座敷を3か所に設け、料亭建築を平面構成。 部屋構成は創業当時のままだが、昭和26年の天狗楼の開業とそれ以降の同41年にかなり改装。今も創建時の雰囲気を留めるのは、玄関周りと別棟部1階の「まつの間」等。
内部に改装はみられるが、県内の数少ない料亭建築遺構。現在も料亭として、利・活用されている点も評価が高い。
■まとめ
料亭棟は座敷と大広間を持ち、内外部の赤色の壁や扇形の下地窓等に、料亭らしい華やぎを見せる。調理棟は、2階の両脇に袖壁を設ける等、当地の伝統的な町屋形式の意匠を持つ。棟石と鬼を笏谷石で作る表門(昭和26年頃建築)や土蔵(同初期同)も歴史的景観に寄与している。

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